一年を24の季節に分ける二十四節気の一つである「大暑」は、文字通り最も暑い時期を指します。
大暑は1年の中で12番目の節気に位置し、通常は7月23日頃ですが、太陽の位置によって毎年変動します。
今年は7月22日が大暑に当たり、次の節気である立秋の8月7日までがその期間です。
大暑は夏の暑さがピークに達する
梅雨が明けると同時に訪れる「大暑」は、強烈な日差しが降り注ぎ、真夏の暑さが始まる時期です。
空には巨大な入道雲が広がり、セミの鳴き声が響き渡り、夏の真っ只中であることを感じさせます。
この大暑と、その前の節気である「小暑」の期間を「暑中」と呼び、感謝の気持ちを込めて暑中見舞いを送る風習があります。
大正時代の著名な作家、芥川龍之介は、「兎も片耳垂るる大暑かな」と詠み、その酷暑ぶりを表現しています。兎も芥川自身も、その暑さに参っていたことが伝わってきます。
大暑に行われるイベント
大暑の期間中、各地で花火大会が開催されます。近年の感染症の影響で中止となっていたものの、今年は久々に再開される大会も多く見られます。日が暮れても蒸し暑さが残るこの時期に、夜空を彩る花火を楽しむのも夏の風物詩です。
また、この時期は夏祭りも盛んに行われます。特に有名なのは、青森ねぶた祭りと弘前ねぷた祭りです。これらの祭りの起源は明確ではありませんが、中国から伝わった七夕の行事と津軽地方の風習が融合し、無病息災や厄除けを願う祭りとして定着したと言われています。
さらに、仙台七夕まつりもこの時期に開催されます。七夕といえば7月7日が一般的ですが、仙台七夕まつりは8月6日から8日の期間に行われます。これは、仙台七夕が旧暦と新暦の両方の影響を受け、お盆と稲刈りの祈願を兼ねているため、その中間の時期を選んで行われるようになったからです。
大暑を旬の食材で乗り切る
気温が急上昇する大暑の時期は、体調を崩しやすいので、旬の食べ物を積極的に取り入れて健康を維持することが重要です。
この季節に旬を迎える食材には、トマト、キュウリ、ナス、オクラ、ゴーヤ、トウモロコシなどがあります。
これらの夏野菜は、水分やカリウムを豊富に含み、体内の熱を効果的に放出し、体を冷やす効果があります。
高温が続く大暑の時期にこそ、これらの野菜を積極的に摂取して、体調管理に役立てましょう。
「大暑」と「土用の丑の日」と「ウナギ」の関係
「土用」とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前の18日間を指します。その中でも、立秋前の18日間を「夏の土用」と呼び、一般的に「土用」といえばこの期間を指します。今年の夏の土用の始まりは7月19日でした。
夏の土用は、大暑の期間全体とその前の節気である小暑の後半と重なります。そのため、非常に暑い時期となります。今年の土用の丑の日は、7月24日と8月5日の2回です。
江戸時代の中頃から、土用の丑の日にウナギを食べる習慣が定着しました。当初、土用の丑の日には「う」のつく食べ物を摂る風習がありましたが、蘭学者で作家の平賀源内が「ウナギを食べると夏バテしない」と宣伝したことで、ウナギを食べる習慣が広まりました。
大暑の期間中にウナギを楽しむ
現在でも、土用の丑の日にウナギを食べる風習は続いています。ウナギには、ビタミンA、B1、B2、D、E、コラーゲン、DHA、EPAなどが豊富に含まれており、真夏の疲れた体に栄養を与えてくれます。
夏土用と重なる大暑の時期には、ウナギを食べるのがおすすめです。ウナギの自然の旬は10~12月ですが、養殖ウナギは土用の丑の日に合わせて6~8月に旬を迎えます。
ウナギには、免疫力を高めるビタミンA、疲労回復に効果的なビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンE、体調を整えるミネラルなどが含まれ、夏バテ防止に最適です。
土用の丑の日にこだわらず、大暑の期間中にウナギを楽しむのも一つの方法です。混雑や価格の上昇を避けるために、土用の丑の日以外の日に食べるのも良いと思います。
さいごに
大暑の期間中、立秋前の18日間を「夏の土用」と呼ばれ、この時期に「ウナギを食べると夏バテしない」という言い伝えが広まり、土用の丑の日にウナギを食べる習慣が定着しました。
この風習は、江戸時代の学者である平賀源内が「夏の疲れを防ぐ」としてウナギを推奨したことに由来していたのですね。
文字通り一年で最も暑い時期である大暑。この時期の旬の食材をしっかりと摂取して、暑さに負けずに健康を維持しましょうね。