学生にとって夏休みは運転免許を取得するのに良い機会ですね。運転免許を取得するためには、教習所での卒業検定を通過する必要があります。
例年、この検定の合格率は70％を超えており、高い水準にありますが、それでも10人に2～3人は不合格になることがあります。
このため、しっかりと準備して臨むことが大切です。検定の概要や採点基準、そして合格するためのポイントを深堀してみました。
運転免許の卒業検定の概要
卒業検定は、教習所の課程を修了する前に実施される技能試験です。教習所内のコースや路上で運転を行い、安全に運転できるかどうかが評価されます。
この試験に合格すると、卒業証明書が発行され、教習所を正式に卒業できます。ただし、教習所を卒業しても、それだけでは運転免許を取得することはできません。卒業後には免許センターでの本免学科試験に合格する必要があります。
運転免許試験合格率について
警察庁のデータによると、卒業検定の合格率は通常70％以上で推移しており、2023年度には78.7％に達しています。
これにより多くの受験者が合格していますが、一方で10人に2～3人が不合格となる厳しい試験でもあります。
クルマは命に関わるものであるため、受験者は常に高い安全意識を持って試験に臨むことが求められます。不合格の場合でも、再試験をすぐに受けることが可能です。
運転免許卒業検定の手順と内容について
卒業検定までの手順
卒業検定に挑戦するには、以下のステップを踏む必要があります。
1. 最初の教習段階（学科10時間、技能12～15時間）を修了
2. 修了検定と仮免学科試験に合格
3. 次の教習段階（学科10時間、技能19時間）を修了
4. 卒業検定前の効果測定に合格
効果測定とは？
効果測定は、教習所で学んだ内容がどれだけ身についているかを確認するための学科試験です。この試験に合格しないと、修了検定や卒業検定を受けることができません。
卒業検定の内容と所要時間
卒業検定は、実技試験のみが行われ、学科試験はありません。運転技術を評価するもので、所要時間はおおよそ30分程度です。
☆ 教習所内のコースでの運転（約5～10分）
☆ 公道での運転（約20～25分）
試験中、教習所の指導員が助手席から運転の様子を観察し、運転技術や交通標識の理解度を評価します。
コース選択と注意点
走行コースは、事前に知らされる場合と、当日に指導員から指示される場合があります。もしコースを間違えてしまっても、減点にはつながりません。ただし、焦って運転ミスをしないよう、冷静に対応することが重要です。
即時失格となる行為
次のような行為は危険と見なされ、試験が即時終了となる可能性があります。
これ以外にも、試験官が危険と判断する行為があれば、試験中止となることがあります。特に、踏切や交差点での一時停止を忘れたり、黄色信号で無理に進行したりしないよう注意しましょう。
運転免許卒業検定の合格基準
卒業検定は100点満点で採点され、試験終了時に70点以上残っていれば合格です。試験官は運転中のミスを減点方式で評価し、合格点に達しているかどうかを判断します。
減点項目と減点数の具体例
卒業検定の採点基準は、警察庁の規定に基づいています。以下は、代表的な減点項目とその点数の一例です。
【5点の減点】
発進前のミラー位置確認を怠った場合、シートの調整が不十分な場合、不適切なペダル操作、ウィンカーの操作ミス（出し忘れや消し忘れ）、停止線から2メートル以上手前で停止した場合、正しい走行位置からの逸脱（内側や外側）、急発進、降車時にエンジンを切り忘れるなど。
【10点の減点】
前進すべき場所でわずかに後退した場合（0.3～0.5メートル未満）、適切な速度より5キロ未満速い速度で走行した場合、不必要に右側車線を500メートル以上走行した場合、車間距離の不保持、クランクでの切り返し、急ハンドル操作、泥はね運転など。
【20点の減点】
前進すべき場所で0.5メートル以上1メートル未満後退した場合、適切な速度より5キロ以上速い速度で走行した場合、不必要な車線変更、右左折時やカーブでの減速不足、進路変更を行おうとする車両への道を譲らないなど。
【危険行為】（試験中止）
発進が1分以上かかるほど技術不足の場合、エンストを繰り返す場合、クランクや縦列駐車で切り返しを繰り返す場合、一時停止を無視する場合、踏切で停止しない場合、信号無視、1メートル以上後退（大きな逆行）、安全地帯への侵入など。
警視庁が提供する「運転免許技能試験の採点基準」には、これ以外にも多数の減点項目が規定されています。また、試験中に危険を感じた試験官がブレーキを踏んだ場合も、その場で試験が中止となります。
検定後の手続きと次のステップ
卒業検定が終了したら、結果を待ちます。
合格の場合は「本免学科試験」へ
検定の結果が70点以上であれば、卒業検定をパスしたことになります。教習所から卒業証明書が発行され、運転免許試験場での技能試験が免除されます。ただし、本免学科試験の受験は必要です。
学科試験は予約が必要で、通常は教習所が指定する日時に初回の受験を行います。学科試験に合格すると、晴れて運転免許証が交付されます。
不合格の場合は再受験
もし卒業検定に合格できなかった場合は、再挑戦が可能です。ただし、再受験の前に補習教習を1時間受ける必要があります。また、追加の教習費や再受験費用、合宿の場合は延泊費用がかかることがあります。
再受験はその日のうちに可能な場合もあれば、翌日以降に実施されることもあります。詳細は教習所のスケジュールに従い、確認しましょう。
卒業検定に合格するためのポイント
誰もが一度で卒業検定をクリアしたいと願っています。ここでは合格のためのいくつかのヒントを紹介します。
1. 指導員からフィードバックを受ける
運転には個々の癖が表れやすいため、自分の弱点を把握することが重要です。普段の教習で、指導員に自分の運転で注意すべき点を尋ね、改善しておきましょう。
2. 苦手な操作を克服する
S字カーブやクランク、縦列駐車などを苦手とする人は多いですが、繰り返しミスをすると検定に響きます。苦手な操作については、指導員にアドバイスを求めたり、オンラインの情報を活用してコツを学びましょう。
3. 試験コースを事前に確認する
卒業検定のコースが事前に公表されている場合は、前日にそのルートを確認しましょう。家族に運転してもらい、自分は助手席から標識や注意ポイントをチェックすると効果的です。
4. 試験当日に向けた体調管理
試験前日は緊張で眠れないこともありますが、本番に集中力を発揮するためにも、しっかり食事をとり、十分な睡眠をとるようにしましょう。
5. 安全確認と停止動作を明確に
運転中の安全確認や停止動作は非常に重要です。右左折や横断歩道の前、進路変更時にはしっかりと首や頭を動かし、安全確認を試験官に示しましょう。また、停止線では確実にブレーキを踏んで完全に停止することが大切です。
6. ミスしても冷静さを保つ
緊張すると誰でもミスは起こり得ますが、失敗しても焦らず、冷静に対応しましょう。焦ることで視野が狭くなり、さらに運転が不安定になる可能性があります。
